かつてMLBドラフト1巡目指名を受けた大器が、飛躍のときを迎えている。来日6年目のC.スチュワート・ジュニアは昨季、来日初勝利を挙げるなど、3勝ながら強烈なインパクトを残した。特に終盤は先発ローテーションにも定着。課題のクイックについても投げるごとに改善を見せるなど、一気に成長の証しを示した。先発ローテの一角として“実質2年目”となる勝負の今年は、「10勝以上が自分の目標」と鼻息も荒い。
オフに取り組んだのはカットボールの改良だ。アメリカの施設でピッチデザインに励み約2カ月。握りを変えて、より球速帯の速いボールに仕立て上げた。時間はかかったと認めるが、「とにかく感覚がいいです」。最速160キロの直球に並ぶ武器に手応えは十分だ。さらに、昨季は平均投球回が6回に届かなかった反省を踏まえ、体力面アップも図るなど準備を着々と進めた。
入団当初から制球面やメンタル面で課題を露呈してファーム暮らしが続き、ここまでは決して順風満帆なキャリアとはなっていない。それでも二軍監督時代から見守ってきた
小久保裕紀監督が、春季キャンプなどで見せる姿に「だいぶ成長した」と目を細めるほど。実戦でもアピールを続け、開幕先発ローテをつかんだ。「日本もホークスも大好き」と語り、今年1月には新たに在籍を2026年まで延長する大型契約を結んだ。日本語も上達し、好きな言葉は「ガチ」だ。心身ともに充実している右腕が、今年は「ガチ」で圧倒的な成績を残すかもしれない。
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