声出しでチームを鼓舞する蛭間
成績不振のため
西武は5月26日、
松井稼頭央監督の休養とともに
渡辺久信GMの監督代行就任を発表した。指揮官が代わり、低迷するチーム状況を打破するためにはムードメーカーの存在が重要であることは間違いない。
6月9日、左手首痛で登録抹消となったが、それまでその役割を果たしていたのが
蛭間拓哉だ。ルーキーイヤーの昨年も、自身の活躍はもちろんだが、自分以外の選手の好プレーやチームに得点が入るたびに大きな声やジェスチャーで全力で喜びを表現し、雰囲気を盛り上げたが、今季は昨季以上のムードメーカーぶりを発揮していた。
選手会長の
外崎修汰も「本当に“アツい男”という感じ。たとえ周りがついてこなくても、一人でも熱くやってくれているので、結果、チーム全体が良い方向に引っ張られている。今のチームのムードメーカーは蛭間です」と、その貢献ぶりをたたえていた。
その象徴だったのが8連敗中で迎えた5月25日の試合前恒例の“声出し”だ。指名された蛭間は高校野球をテーマに掲げた。プロ野球は長期レースだが「高校野球は一発勝負の世界。1つ勝つために高校生活のすべてを費やしていたころの気持ちをプロになっても全員が持って挑むことが大切だと思いますし、このチームに足りないところだなと思ったので」。
まだ実績のない2年目。当然、先輩や周囲への遠慮もある。だが、「そんなことは言っていられない。とにかくチームが勝つために、何を言われようが、どんどんやっていきたいなと思います」と語っていた。
うれしいときは喜び、悔しいときは落ち込むが、すぐに切り替えて前向きに挑む。そんな蛭間の“天真らんまん”さは、巻き返しの必須戦力だ。
写真=BBM