
開幕に向けてキャンプから順調に調整を進める隅田
契約更改後の記者会見で
隅田知一郎はさらりと言った。
「沢村賞を狙っているので」
球団の歴史をさかのぼれば同賞受賞者には2009年の
涌井秀章(現
中日)、01年の
松坂大輔、そして1997年、今季から一軍監督に就任した
西口文也など、当時の絶対的エースの名が並ぶ。
「25試合以上」「200イニング以上」「10完投以上」「15勝以上」「勝率6割以上」「150奪三振以上」「防御率2.50以下」の7項目が選考の基本基準とされているなかで、隅田の昨季成績の先発26試合、179回1/3、2完投、9勝、154奪三振、防御率2.76を見れば、十分期待できると言える。「最多勝や奪三振王、最優秀防御率など、すべてのタイトルを狙う気持ちで1年間やることが、選考基準到達にもつながると思う。すべての数字目標のハードルを上げて挑みたい」と本人も投手4冠を目指す。
そのなかで、あえて「一番欲しいタイトルは?」と問うと、「最多奪三振」との答えが返ってきた。昨季は
今井達也が同タイトルを受賞。隅田にとって今井は自主トレも一緒、シーズン中もほぼ毎日キャッチボール相手となっている特別な存在だ。「今井さんと奪三振王争いしたいですね」と穏やかに笑った。
「去年も6月が終わった時点で31個の差をつけられてしまったんです。でも、7月以降で見れば2個差。序盤、アウトを取ることを最優先して慎重になり過ぎてしまったところもあったので、今年はもっと思い切りいきたい。結局、三振が一番ノーリスクなので」
当然、今井も連続同タイトル獲得を狙っている。左右のエースによる「ドクターK」争い。想像しただけでワクワクが止まらない。
写真=BBM