
リリーフとしてマウンドに立ち、チームのために腕を振っている
慌ただしい入れ替わりが続くブルペンで、一歩ずつ存在感を示している。
湯浅京己が一軍昇格を果たしたのは4月24日。その5日後に出番は回ってきた。
投げる前から心に決めている覚悟がある。「良かったときに戻りたいとは一切思わない。新しい自分を作りたい」。過去のマウンドは一軍に上がる前に捨ててきた。
2年ぶりのリーグ優勝を狙うチームに試運転させている余裕があるわけもない。湯浅は戦力として上がってきたわけで、当然そこには結果が求められる。
そんな状況下で巡ってきた4月29日の
中日戦(バンテリン)だ。
才木浩人をリリーフして二番手でなんとか1イニングを無失点で乗り切った。
2024年8月に「胸椎黄色じん帯骨化症」の手術を受けた。背骨付近にあるじん帯が硬化し、神経が圧迫されて痛み、しびれが生じる国指定の難病と闘った。
プロ入りした当初から腰の腰椎分離症などに見舞われたが、23年は日本シリーズの大舞台に立てるまでの投手になった。だが、またしても試練が立ちはだかったのだ。
湯浅は「たくさんの支えがあってここまで来られた」と周囲への感謝を忘れず、ひたすら我慢と努力を続ける。そしてたどり着いた復活マウンドになった。
約2年ぶりに登板すると、翌30日の同戦にも連投し、5月に入ってからも戦力としてマウンドに上がっている。平坦ではないだろうが「投げながら信頼を得たい」という。新しい湯浅、25年度版の湯浅京己のスタイルが今、確立されつつある。
写真=BBM