開幕前の周囲の不安がうそのように、安打量産を続ける。
今季から加入したファビアンは、チームが41試合を終えた5月20日時点で打率.329はリーグ1位、54安打は12球団最多。表情は明るく「絶好調! いい感じ」と、口も滑らかだ。
5月10日の
DeNA戦(横浜)、チームは3回までに3点ビハインドの苦しい展開だった。4回に左翼ポール直撃の4号2ランで反撃の機運をつくり、6回には同点打を放って逆転勝利の立役者に。
4月30日から連続安打は17試合まで伸ばし、17度の複数安打もリーグ最多。
新井貴浩監督が「こちらの想像以上の速さでアジャストしてくれている」と、目を細める活躍ぶりだ。
マイナー通算104本塁打の助っ人。オープン戦は打率.163と低迷し、開幕直後は下位打線にも座ったが、今は主に三番打者として打線を支える。
「あまり自分の成績、打順は意識していないけど、毎試合、毎打席、集中できている」と自信をみなぎらせる。
頼れる“相棒”も帰ってきた。同じ1998年にドミニカ共和国で生まれたモンテロだ。開幕3戦目に左脇腹肉離れで離脱も、5月13日の
巨人戦(マツダ広島)から復帰した。
不調だったオープン戦からたびたび助言を求め、不慣れな日本での生活を含めて公私ともに支え合う。
そのモンテロは、復帰戦でサヨナラ打を放ち、5月17日の
阪神戦(甲子園)で来日1号。5月20日の
ヤクルト戦(マツダ広島)は自身が先制ソロ、モンテロがV打を放ち、初めてお立ち台で“競演”した。
昨年は助っ人の不振が誤算だったが、今年は違う。「とにかく勝つことに貢献したい」と、さらに快音を響かせていく。
写真=井沢雄一郎