移籍2年目で竜に欠かせない存在となった。打率、本塁打、打点で一時はチームトップ。盗塁数でも一番だったから頭が下がる。
ソフトバンクから受けた戦力外をきっかけに再ブレークを狙う上林誠知が存在感を放ち続けている。
1試合2発を放ったのは5月16日の
巨人戦(東京ドーム)。1点を追う6回、一死で巨人先発・
赤星優志のカットボールを右翼席へ放り込んだ。
「いいカウントだったので思い切りいきました」。今季4号ソロの次は同点の8回二死。昨季、一度も被弾のない巨人のセットアッパー
大勢の154キロをひっぱたいた。左中間席への5号ソロ。
「まさか大勢投手から打てるとは思わなかった」という驚きの一打で一時は勝ち越しに成功した。1試合2発は2019年7月8日の
西武戦(東京ドーム)以来6年ぶり。自身3度目だった。
悪夢から3年が迫る日だった。ソフトバンク時代の22年5月18日。試合前のシートノックで右アキレス腱断裂。意思と動きがマッチしない。モヤモヤしたまま古巣を追われた。
「医師からは2、3年かかると言われていました。ケアしながらこれからも頑張ります」。時間の経過が薬となる。18年には22本塁打をマークしている。再起を証明する2発となった。
井上一樹監督は「レギュラーを狙うところから、ここまで来た。ちょっとくらい打てないときがあったとしても、上林を簡単に外す選択肢はもうない」と明かす。
松中信彦打撃統括コーチと二人三脚で打撃の形を取り戻し、磨いてきた日々。福岡人脈が竜を支えている。三番から一番に打順が変わっても、やるべきことは変わらない。ピンクのリストバンドもサマになってきた。
写真=BBM