DeNAが交流戦を制したのは、23年のことだった。11勝7敗で
ソフトバンク、
オリックス、
巨人と並び、TQB(得失点率)の差で初優勝。立役者の一人がT.バウアーだった。3試合で3勝、防御率も1.50。計24イニングを投げた。同年6月14日の
日本ハム戦(横浜)では、希望していた来日初の中4日で登板。9回を3安打1失点、12奪三振の力投で初完投をマークした。
MLBレッズ時代の20年にサイ・ヤング賞に輝いた。昨年はMLB復帰を目指したが、メキシカン・リーグでプレー。「沢村賞とサイ・ヤング賞を取ることは野球人生の最高の栄誉だと思っている。ファンのために優勝を勝ち取ります」と決意し、2年ぶりに横浜へ帰ってきた。2月のキャンプに参加せず、米国で練習。先発ローテーションの軸として期待され、3月29日の
中日戦(横浜)で開幕2戦目のマウンドを任された。
自身3連敗スタートから巻き返すと、4月27日の
広島戦、5月3日の巨人戦(ともに横浜)で連勝。巨人戦では初完封を成し遂げた。ここまで11試合で4勝3敗と調子を上げ、チーム最多の80イニングと先発の仕事を果たしている。
一時は急性副鼻腔炎に悩まされ、睡眠も4時間程度とコンディション調整に苦慮。「1軍から離れるというのは全く考えていない」と言い切る頼もしさだ。現在、チームでは
東克樹、アンドレ・
ジャクソン、ケイと先発陣3人が防御率1点台の安定感。「体調は劇的に良くなっている」と上昇一途のバウアーが、2年ぶりの頂点へ導く。
写真=BBM