重圧をはねのけ、完璧な仕事をした。「ある意味、開き直って。最低でも外野フライというのをイメージして、打席に立っていました」。6月8日の
日本ハム戦(横浜スタジアム)の10回だった。三森大貴に回ってきた一死満塁のチャンス。結果は「最低限」どころではなかった。2ボールから左腕・
宮西尚生の直球を右前へ。プロ9年目で初のサヨナラ打を記録した。「喜びと安心感と、すごい充実感というか……。いい瞬間ではありました」。自身11打席ぶりの快音が劇打。お立ち台からの景色も堪能することができた。
昨年12月に
浜口遥大との交換トレードで
ソフトバンクから加入。右手人さし指のケガも回復し、背番号は13から26に変更。「2倍頑張っていけるように」と決意表明した。セ・リーグでのプレーも初めて。「思い切ってやるだけ」と突き進んだ。開幕1軍入りを果たし、4月1日の
阪神戦(京セラドーム)で移籍後初先発。右翼でのスタメンは初めてだったが、3安打2盗塁と持ち味を発揮した。ここまで1度も2軍降格することなく、44試合に出場。10盗塁はチームトップだ。
「相手が100パーセント警戒している場面で、しっかりとスタートを切ってスチールを決められる」と三浦監督は技術の高さを評価。守備では一、三塁と右翼に加え、サヨナラ打を放った日本ハム戦では本職の二塁にも就いた。「どのポジションでも緊張感がある」と代走、守備固めを高い水準でこなし、交流戦終了時点での得点圏打率も.391の勝負強さ。勝利に不可欠な、とっておきのカードがある。
写真=BBM