
練習量が生む勝負強さは健在。指揮官の期待に応える打撃をもっと見せたいところだ
ここぞの場面で打席に立ち、勝利に導く一打を放つ。4月に30歳を迎えた
宮本丈は8年目の今季、先発出場の機会もありながら、代打の切り札としても活躍。首脳陣からの信頼も厚く、6月23日時点で代打打率.348をマークしている(起用回数32)。
背番号10が輝いた試合があった。5月17日の
DeNA戦(神宮)。6対6の8回に代打で登場すると、内角球にしっかり対応して右翼線へ決勝の適時二塁打。お立ち台に上がり「厳しいところで何とか結果を出す準備を心掛けている」と汗をぬぐった。ベンチ裏での準備は、相手投手の球数、試合展開を見ながら入念に行う。「1打席しかないんですけど、やりようによっては内容の濃い1打席にできる。その1打席で4打席、5打席分くらいの収穫が得られるような準備しています」と1打席に懸ける思いは人一倍だ。
さらに、同27日の
中日戦(神宮)でも1対1の8回一死一、二塁で左翼へ決勝の適時二塁打。
高津臣吾監督は「うちの切り札なので、(走者が)スコアリングに行ったところで行きましたけど、なかなか簡単じゃない。すごくいいバッティングだと思う」と賛辞を惜しまなかった。宮本自身も緊迫した場面で結果を残すことにどん欲で「勝負強い切り札になれたらなと思います」と言葉に力を込めた。
後輩も増えてきたが、練習量は誰にも負けない。主砲・
村上宗隆も野球に対する姿勢に尊敬のまなざしを向けるほどだ。「僕も若い選手に負けないようにやっていきたい」と宮本。努力の成果が、ここぞの場面で自身の力になる。