良くも悪くも、二俣翔一に定位置はない。スタメンであっても他選手との兼ね合い、途中出場なら試合状況によって就くポジションは異なる。
「難しさはあるけど、そういうところが自分の強みでもあるので」
今季ここまで二塁を除く内外野6ポジションをこなす背番号99は、チームにとって貴重な存在だ。
自身初の開幕一軍、さらに開幕スタメンを勝ち取った今季は“定位置のないレギュラー”をつかむチャンスはあった。開幕から打線のカギを握るリードオフマンを任されたが、期待に応えられなかった。
5月19日に打率.160という数字を残して二軍再調整となった。昨季であれば、スーパーサブとして一軍に残っていたかもしれない。求められる立場が変わったからこその降格でもあった。
内外野、どのポジションにもライバルはいる。遊撃には
小園海斗と
矢野雅哉、三塁には故障から復帰したドライチ・佐々木泰がいる。外野にも
大盛穂、
中村奨成がいる。打撃で結果を残さないと、生き残れない。
安定感に課題は残るが、8月5日の
DeNA戦(横浜)でT.
バウアーから逆方向に3号2ラン。
新井貴浩監督が「いいスイングじゃないと、あのゾーンに本塁打は打てない」と評価した強打もある。
二俣の守備力について、
三好匠内野守備・走塁コーチは「肩の強さがあるし、球際は強い」と言う。続けて「もっとできるんじゃないかなと思う」と求める。
チームにとって使い勝手の良さはあるが、ユーティリティーにとどまる選手ではない。若手の多いチームに“隙間”は大いにある。
まだ22歳。打撃も守備も、もうワンランク上の力を身につけ、チャンスをつかみ取る。
写真=井田新輔