
チームに欠かせないユーティリティ選手
24歳最後の日に
奈良間大己は急きょ“投球練習”を行った。5月7日の
オリックス戦(京セラドーム)の試合中のことだ。2対2の延長12回一死。九番手の生田目が先頭打者の一ゴロでベースカバーに入った際に右足首を負傷。ブルペン最後の投手だった玉井が緊急登板した。その交代を球審に告げた新庄監督が三塁の奈良間の元へ向かった。
指揮官は「玉井君になにかアクシデントが起きたら奈良間君にしようとね」と、その場で緊急事態用に“投球練習”を指示。捕手の伏見がマウンド付近で座り、三塁ベース付近から“投手・奈良間”が数球、伏見に投げ込んで有事に備えた。試合は玉井が無事に残り2アウトを奪って引き分けで終了。奈良間も「いや、登板機会がなくて良かったです」とホッとした。
小学生時代に投手として試合に登板したことがあったそうだが、中学以降は野手一筋。新庄監督からは「(投手が)玉井さんだけだったので『なんかあったらマウンド上がるぞ』と」と言われるがままに肩をつくった。それだけ肩が強く、今季は送球エラーもない“制球力”もあるからこその指名でもあった。
今季は内野手として二塁、三塁、遊撃を守っている。試合途中からの守備固めだけでなく、スタメン出場もある。さらに代打や代走、そしてムードメーカーなど、求められている役割は多岐にわたる。「普通に自分のできることをやりたい。どっしりしていきたい」。確実に仕事をこなす背番号58は、チームに欠かせないユーティリティー選手だ。
写真=BBM