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巨人・井上温大 消えない向上心/このままでは終わらない

 


 悔しさと不甲斐なさを心に刻んだ。井上温大は「長嶋茂雄終身名誉監督追悼試合」と銘打って開催された8月16日の阪神戦(東京ドーム)の先発という大役を任された。

「絶対に勝たなければいけない試合。そういう日に投げられることに感謝したい」と、6月3日に89歳で亡くなったレジェンドへ白星を捧げるべくマウンドに立ったのだが……。

 初回先頭の近本光司に四球を与え、三番の森下翔太にいきなり2ランを浴びた。3回5安打3失点で7敗目。5月21日の阪神戦(甲子園)以来、9登板ぶりの4勝目はつかめなかった。試合後は「試合を壊してしまった。自分自身の技術とメンタル不足。レベルが低いなと思っています」と自らを責め続けた。

 高卒5年目だった昨季は6月から先発ローテーションに定着し、8勝5敗、防御率2.76とブレークを果たした。シーズン終了後には侍ジャパンの一員としてプレミア12に出場。推定年俸は670万円から約5倍となる3400万円に大幅アップ。今季は一層の飛躍が期待されていた。

 しかし、5月以降は長嶋監督追悼試合の時点で12試合に登板して1勝6敗。7月31日の中日戦(バンテリン)ではマウンド上で阿部慎之助監督からベースカバーの遅れを叱責されるなど、投球以外にも課題を残す。

 悔しさが募るシーズンとなっているが、「これからの成長に、絶対につなげていきたい」と左腕の向上心は消えていない。8月23日のDeNA戦(東京ドーム)ではようやく4勝目となる約3カ月ぶりの白星をつかんだ。まだ24歳。苦しんだ分だけ、さらに大きな花を咲かせる。

写真=BBM
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