
「逆風張帆[ぎゃくふうちょうはん]」を胸にマウンドへ
気合という言葉では足りないほど、マウンド上で熱い気持ちがあふれ出ていた。9月9日の
ソフトバンク戦(エスコンF)。先発したエース・
伊藤大海は立ち上がりから、ほえまくっていた。「何とか勝つことだけを考えて、初回から腕を振っていました」。球速も1回から154キロをマーク。その投げっぷりで、絶対に負けられない試合を体現した。
投げ合った相手はソフトバンクのエース・L.
モイネロ。この日が今季6度目のマッチアップだった。投手戦が予想される中で2回に3失点を喫したが、伊藤は前向きだった。「チームの雰囲気もすごく良かったので、3点取られても負ける気はまったくしなかった」。3回以降は完璧に立て直し、終わってみれば7回3失点のクオリティースタートでまとめた。
常に最善の準備を心がけるからこそ、エースとしての役目を果たせる。この日は「逆風張帆(ぎゃくふうちょうはん)」という言葉を心に忍ばせてマウンドに立った。「今日、お守り的な言葉が欲しいなと思って調べて、今日はそれがしっくりきた」。ただ逆風に流されるのではなく、帆を張って前進するための工夫をする。そんなふうに逆境を乗り越えていく意味が込められた言葉だ。
前カードで
オリックスに3連敗を喫していたチームの状況にマッチする言葉でもあった。「その言葉をずっと頭の中に置きながら、ゲームを進めました。野手に感謝です」。3点差をひっくり返して直接対決で逆転勝利に導いてくれた打撃陣をたたえたが、その底力を引き出せる投球ができるのもエースたるゆえんだ。
写真=BBM