
圧倒的な内容で相手打線を抑え込んでいる今井
2年連続で開幕投手を務め、シーズン通してほぼ離脱なく先発ローテーションを守ってきた。普段の言動や野球に対する研究熱心な姿勢、向上心、そして何よりその圧巻の投球内容は首脳陣、チームメート、ファン含め誰もがエースは
今井達也だと認めるに違いない。昨季は最多奪三振のタイトルに続き、今季も序盤から奪三振、防御率など常にリーグ上位に名を連ね、いまなおトップ争いを繰り広げている。
とはいえ、すべてが順調ではなかった。特に6月27日の
日本ハム戦(ベルーナ)で登板中に熱中症になったことは苦しい経験だった。その後、状態を上げきれず3試合連続5回降板、0勝1敗と精彩を欠いた。加えて強打者すら一発を狙わず、各チームがあからさまに仕掛けてきた“今井対策”をいかにかいくぐるかに頭を悩まされた。それでも周りの選手から常に何かを吸収しようとし、少しでも気付きがあれば取り入れるという貪欲さが突破口をもたらした。
「練習中に
糸川亮太に投げ方を聞いて投げたら、試合でもいけそうだったので使ったら、すごくよかった」とシンカーを習得。さらに土手の閉じ方の違うグラブを使うことで、本人が投球フォームで一番大事にしている「立ち方」が改善され、本来の感覚を取り戻した。
結果として、苦悩を乗り越えたことでさらなる進化を遂げる点こそ、今井の能力の高さの象徴と言えよう。「CS出場の可能性がある限り、全員で目指すべき」と今井。最後の最後まで圧倒的な投球でチームをけん引していく。
写真=BBM