
在籍3球団目、18年目のシーズンに全盛期とも言える投球を見せている
酸いも甘いもかみ分けた、ベテラン右腕の意地が詰まったマウンドだった。9月5日の
日本ハム戦(京セラドーム)、2点リードの8回。三番手・
岩嵜翔は死球と右前打で無死一、三塁のピンチを背負いながらも、そこから3者連続三振で切り抜けてみせた。
「気持ちで投げるタイプなので、勝手にギアは上がりやすい。最初からやってくれよって言われるかもしれないですけど。なんとか抑えられてよかった」
3三振の奪い方すべてに、持ち味が凝縮されていた。「バッターの特徴を見て、どういうアウトを取りやすいかをまず考える」。最初の
水谷瞬には「フォークを届かないところに続けて投げれば、空振るんじゃないか」と、全4球フォーク勝負。続く
郡司裕也は直球とフォークを織り交ぜて追い込み、「バッターのタイプ的にも、あそこしかないところに投げられた」と外角低めのスローカーブでバットの空を切らせた。ラストの
清宮幸太郎にはこの日最速158キロの直球を主体に追い込み、最後は6球目、高め155キロのつり球で勝負あり。5球目に唯一この打席で投じたフォークをファウルされ、「健矢(
若月健矢)がファウルの仕方を見て(高め直球で)いけると思ったって言ってくれた」と、まさに捕手との共同作業で成し遂げたピンチ脱出だった。
5月末に金銭トレードで
中日から加入し、チーム2位の16ホールド(30日時点)を記録。8月7日には自己最速を更新する160キロを計測した。18年目右腕は全盛期とも言えるパフォーマンスで、在籍3球団目となった
オリックスのブルペン陣を支えている。
写真=BBM