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史上最強の新戦力たち
2年目までに新人王、打撃三冠、投手三冠とプロの旧戦力を蹴散らした
当時の六大学は強かった!

 



 今週号の特集は、新戦力のチェック。ルーキーたちのカタログも載っているが、この写真の東京六大学出身の58年プロ入り世代は、史上最強のルーキー軍団と言ってよかった。左から拝藤宣雄投手(立大-広島)、本屋敷錦吾遊撃手(立大-阪急)、森徹外野手(早大-中日)、長嶋茂雄三塁手(立大-巨人)、杉浦忠投手(立大-南海)。

 彼らのプロでの2年目までの戦績を振り返ってみると、拝藤が6勝4敗、4勝2敗。本屋敷が2年連続全試合出場、打率.260、.216。1年目に最多三塁打(10)。森が1年目23本塁打。2年目31本塁打、87打点で2冠。2年連続ベストナイン。長嶋が、1年目、打率.305、29本塁打、92打点で本塁打、打点の2冠、新人王。2年目は打率.334で首位打者。もちろん連続ベストナイン。杉浦が1年目に27勝12敗、防御率2.05で新人王。2年目に38勝4敗、336奪三振、防御率1.40で投手三冠。さらに両リーグ最多の9完封。そして、MVP。

 いかに当時の六大学のレベルが高かったかが、分かろうというものだ。

 この写真は、それぞれプロ入りが決まり、ホッとひと安心という時期のもので、58年1月、この年からプレーするであろう後楽園球場のネット裏に集合してもらった1枚。左端の拝藤は、実働4年で12勝(7敗)と実力を発揮できなかったが、長嶋の親友で、出身高校が鳥取・境高。女優の司葉子も同校OGで知り合いだったことで、長嶋に紹介。一時は「2人は結婚か?」と大きな話題になったこともあった。

 それはともかく読者は、5人の上方にある「SBO」の左側のスペースにご記憶はないだろうか。そう、ここは、翌59年6月25日、昭和天皇、香淳皇后をお迎えしての天覧試合で、お2人がお座りになった貴賓席。長嶋クンがその試合で大ヒーローになるのはもちろんだれも知らない。
文=平野重治
おんりい・いえすたでい

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