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究極のミスマッチ!?中日・近藤貞雄監督が名古屋フィルを指揮しちゃった!
こんなことは近藤サンにしかやれないのだ

 



 東京・神保町の交差点近くにある立ち食いソバ屋は、いつもモーツアルトが流れている。それも、なぜかほとんどがピアノコンチェルトなのだ。ズル、ズスッとやっている上にモーツアルトのピアノコンチェルトがおっかぶさる図は、究極のミスマッチではないか!!

 でも、慣れてくると、これがいいのである。快感ですらある。たまに、違う作曲家の曲だったりすると、つまらないのでソバまでまずくなる。

 さて、この1982年1月8日の写真も究極のミスマッチではないだろうか。プロ野球の監督が、何とフルオーケストラを指揮しているのである!!

 まあ、こんなことをやれるのは、この人、近藤貞雄さん(当時中日監督)ぐらいのものだろう。常々、「オレは人が見たくないものを見る、やりたくないものをやる、これを主義にしているからね。臭いモノにフタがしてあったら、すぐそれを取りたくなるんだ」と言うほどだから。「男なら一生に1度やってみたいものは、連合艦隊司令長官、プロ野球の監督、オーケストラの指揮者だ」と言ったのは、たしかサンケイの水野成夫オーナー。近藤さん、そのうち2つをやってのけたのだから、これは大満足だったことだろう。

 近藤さんは、名古屋フィルハーモニーのニューイヤー・コンサートのゲストに招かれ、ついでに指揮台にも立ってしまった。タクトを振ったのは「ドラゴンズ・ファンファーレ」。近藤さんは「時間にすれば1分ぐらいだったけどね。自宅でハシをタクト代わりに練習した成果が出たよ、ハッハッハ」。なるほど、この表情は余裕たっぷり。名フィルの外山雄三総監督(右)もあべ静江さん(左)も「負けソ〜」の表情。近藤中日、この年、8年ぶりのVを達成した。
文=大内隆雄
おんりい・いえすたでい

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