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66年前のセ・リーグ開幕式の風景。「スワロース」や「ホエールス」には微苦笑を誘われるが4球団が健在なのは立派!

 

文=大内隆雄


 ついに開幕。プロ野球が1950年セ、パに分かれてから今年で66年。50年に「オギャア」と生まれた人が、いまや年金暮らし。66年は、やはり長い年月である。

 さて、この写真は、その50年の1枚。チーム名を見れば、セ・リーグの8球団の入場式であることが分かるだろう。パ・リーグより1球団多い8球団でスタートしたセ・リーグ。数が多いし、パ・リーグに先んじて3月10日、11日に福岡と下関でスタートした(パ・リーグは11日開幕)。この写真、よく誤って福岡・平和台球場での開幕式というキャプションが付けられるのだが、正しくは、3月21日の後楽園球場での開幕式だ。福岡、下関でスタートしたセ・リーグは、甲子園、鳴海と東上してきて、後楽園であらためて全球団集合となった。東都のファンへのお披露目だから、さすがにスタンドは埋まっている。外野席はほぼ満員だ。

 プラカードを見ると、66年後にも「ジャイアンツ」「ドラゴンズ」「タイガース」「スワローズ」、そして「カープ」のニックネームがいまに続いているのだからセ・リーグは、しっかり結束して66年やってきたということだろう。4球団は現在も同じ球団名だ。

 でも、このニックネーム、ちょっと変ですよね。よく見ると「スワロース」と「ホエールス」、中日も隠れて見えないけど、多分「ドラゴンス」でしょう。「ス」に濁点が付くハズなのに、そうはなっていない。福岡、下関での開幕シリーズでは広島のプラカードはたしか「カープス」となっていた。澄むか、濁るかなんてどうでもよかったのかもしれませんが、まあ、混乱の時代ではありました。

 21日は巨人-中日の1試合のみが行われたが、前年の覇者(49年は1リーグ)巨人は2対5で敗戦。ここまで4勝4敗。水原茂新監督は、歯がゆい思いで指揮を執っていたことだろう。開幕の平和台での松竹戦では、小雪舞うなか完封した(4対0)エースの藤本英雄はすでに2勝、この日もリリーフと大忙がしで、6月28日の西日本戦(青森)では、史上初の完全試合を達成する。
おんりい・いえすたでい

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過去の写真から野球の歴史を振り返る読み物。

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