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メジャー3000安打のイチローの第1歩は?ルーキーの92年に早くも天才の片鱗。「週ベ」誌上の初記事と初グラビアを紹介

 

文=平野重治


 この号が出るころに、イチロー(マーリンズ)のメジャー3000安打が達成されているかは、微妙なところだが、それにしても日米で計25シーズンもプレーするタフネスぶりを何と表現すればいいのか。

 まあ、イチロー本人だって、これほどのプレーヤーになるとは夢にも思っていなかったことだろう。だから野球専門誌の「週ベ」が、イチローの才能に気づくのが少々遅れたって致し方のないところ(言い訳になってませんが)。オリックス・イチローの1年目、92年の成績(ウエスタン・リーグ)を改めて調べてみると、やはりケタ違いの才能だった。ウエスタンの4月2日の開幕戦(対広島)で一番・センターでスタメン出場すると3打数1安打。ここからフル出場で8試合連続安打。マルチ安打も4回。14日のダイエー戦で連続安打が8で途切れると、翌日の同カードでは3安打の固め打ち。結局、4月のイチローは74打数32安打、打率.432。20試合で無安打試合はわずか3。

 こんなイチローなのに「週ベ」のファームのページ「ファーム・ホットライン」にイチローの名が登場するのはやっと6月15日号(6月3日発売)。見出は「“福本二世”に期待!!」。一番・センターだからということでしょうね。記事中のイチローの談話部分を再録すると「ただ無我夢中でやっているだけです。そして出塁したら、つぎの塁を狙うことばかり考えて……」。初々しいセリフだ。

 イチローは、ひたすら打ち続け、当然のようにジュニアオールスター(7月17日、東京ドーム)にも選ばれた。イチローは、3対3の同点の8回表に代打で登場、イースタンの有藤克也(大洋)から右越えに決勝ホームラン(4対3)。MVPに輝き、賞金100万円をゲットした(写真)。これは、「週ベ」8月3日号のモノクロ・グラビアを飾った。これがイチローのグラビア初登場。「ストレートだと思っていたところにチェンジアップが来たけどうまく打てた。最近、打ち損じは少ないです、ハイ」とイチロー。もう自信たっぷりだ。イチローはこの年、打率.366で首位打者。プロ最初の「タイトル」だった。
おんりい・いえすたでい

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過去の写真から野球の歴史を振り返る読み物。

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