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12年に続き首位打者獲得の角中(ロッテ)が打率3割が2度目は意外。ジャック・ブルーム(近鉄ほか)は2度の首位打者以外は3割なしの超効率!?

 

文=平野重治


 この号が出るのは、10月19日だが、この原稿を書いている時点では、22日から始まる日本シリーズの出場チームはまだ決まっていない。今回は、シリーズとは関係のないネタと写真で責めをふたぐことにする。

 今年もセ、パ合計のべ25人のタイトルホルダーが誕生したが、パ・リーグで2度目の首位打者に輝いた(打率.339)角中勝也外野手(ロッテ)が、プロ野球生活10年目になるのに3割を打ったのが前回の首位打者(12年、打率.312)以来2度目というのは意外だった。首位打者を2度以上獲得した打者で、首位打者になれなかったシーズンでは3割を打てなかった、というのは極めて珍しい(もちろん角中はこれから何度も3割を打つチャンスがあるが)。その珍しい打者が元近鉄、南海でプレーしたジャック・ブルーム内野手。

 1960年に近鉄に入団したブルームは、メジャー経験はなかった。しかし、27歳という年齢で来日したのが良かったのだろう。2年で日本の野球に慣れ、3年目の62年に.372の高打率で首位打者。前年より7分7厘も打率を引き上げたのだからビックリ。翌63年も.335で連続首位打者。61年の首位打者(.336)で62年も.333を打ったのに首位打者になれなかった張本勲(東映)は、63年は.280に急降下。ハリやんは恥も外聞もなく、同じ左打者のブルームにどうすればヒットを量産できるのかを聞いたそうな。

 そんなブルームが64年に.294に終わると、南海にトレードされ、65、66年は規定打席にも達せず、そのまま退団したのだから不思議というか、面白いというか……。

 60年の入団時に監督だった千葉茂さんがよく言っていた。「とにかく粗野な田舎モン。紳士だったミケンズ(59〜63年)とはえらい違いや。ミケンズは、300イニング以上は投げさせないでくれ。だが、それ以内だったらどんな使われ方をされてもかまわないと言ってくれた。それに比べてブルームは、家にクーラーは付いてるのかとか、皿の絵柄が気に入らないとか、小うるさいことこの上なし」。

 写真は61年、本塁打したブルーム。左は関根潤三外野手。
おんりい・いえすたでい

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過去の写真から野球の歴史を振り返る読み物。

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