週刊ベースボールONLINE

アマチュア野球情報最前線

 

【高校 High School】

第95回全国高校野球選手権神奈川大会

18U代表入りの可能性も注目は今後の進路

松井裕樹の夏が早過ぎる終焉

 高校野球神奈川大会準々決勝(7月25日)で、2年連続出場を目指した桐光学園高が横浜高に敗退(2対3)した。プロ注目左腕・松井裕樹は1点リードの4回裏にロッテ高濱卓也の弟で四番・祐仁遊撃手(2年)に同点ソロを浴びる。桐光学園は7回表に勝ち越すが、その裏、一死一塁から浅間大基中堅手(2年)に逆転2ラン。最終回は昨夏の甲子園準々決勝(対光星学院高)と同様、ネクストサークルで幕切れを迎えた。自己最速を2キロ更新する149キロに、10奪三振と意地を見せたものの、試合後は立ち上がれないほどの号泣。

「入学してから3年夏(の甲子園)を目指してやってきて、負けて悔しいです。打たれたのは失投。自分の実力がなかった。良い仲間、指導者、後輩にも恵まれて感謝しています」

▲松井は昨夏の県大会準々決勝で、横浜高の神奈川史上初の4季連続甲子園出場を阻止。ちょうど1年後[7月25日]の同カードで敗退した。試合後の会見でも号泣は続き、言葉にならない場面も見られた[写真=田中慎一郎]



 高校野球が終われば、話題は一気に進路問題へと傾く。すでにNPBの全12球団が1位候補にリストアップしている。第1回の面談は春の県大会後(5月6日)に野呂雅之監督と両親を交えて行われたが、結論は先延ばしとなっていた。「『夏に集中したい』と。『高いレベルでやりたい』という話はありましたが具体的に大学、社会人というわけでもなく、プロとも言わなかった」(野呂監督)。

 横浜との準々決勝後、松井は「何も考えていない」と話すにとどめた。また野呂監督も「時間を置いて、落ち着いて話をしていきたい」と見通しを語っていた。翌26 日には3年生16人による、第2回の個人面談が開かれたが、具体的な進展はなかった。部室の荷物整理を行った後、松井は取材に応じ「昨日の今日なのでまだ考えられる状況ではないです。プロ?今はまだ何も……。気持ちの整理をしてから、いろいろな人と話して決めたい」と白紙を強調。どの時期に表明するかについても明言を避け、野呂監督も「当分は何もありません」と、期限を設けずに熟考していく構えを示した。実際のところ、大学の指定校推薦など早めに入試手配を進めなければならない部員を、最優先にしたい事情もあるようだ。

 桐光学園高OBでNPBに在籍するのは山室公志郎(現ロッテ)のみ。同右腕は青学大を経由しており、高卒でプロ入りしたケースはない。進学率が高い同校ではあるが、松井はもともとプロ志向が強いと言われる。青葉緑東シニアで全国優勝した中学時代、東京六大学の系列校からも声がかかったという。「甲子園→神宮」の道筋が約束されていたにもかかわらず、同校を選択した背景からも、進学は考えづらい。時期を見て「プロ志望」を表明すると見られる。

 なお、27日から3日間の休日を経て、30日から新チームが本格始動。例年ならば、松井ら3年生も後輩の練習を手伝う見込み。寮生である松井は千葉県内の実家には戻らず、夏休み期間中も学校で汗を流す意向だという。8月30 日からは18U世界選手権(台湾)が控えている。松井は昨年来の実績から高校侍ジャパン入りが有力。外国人選手を相手に、国際舞台でその雄姿を見たいものだ。(取材・文=岡本朋祐)

■松井裕樹[桐光学園高]2013夏の神奈川大会投球成績
アマチュア野球情報最前線

アマチュア野球情報最前線

アマチュア野球取材班、ベースボールライターによる、高校・大学・社会人野球の読み物。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング