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ヤング指揮官で旋風起こせか愛知大学リーグで33度の優勝誇る

古豪・中京大が7季ぶりに一部舞台

「3年という月日は長かったですが、もう一度立て直し、チームが本当の実力を身に付けるためには必要な時間だったのかもしれません」

 そう語るのは半田卓也監督。中京大中京高時代には「二番・二塁手」として2000年夏に甲子園に出場し、2回戦で優勝した智弁和歌山高に6対7と惜敗。中京大では3年秋の神宮大会、そして4年春の全日本選手権には主将として出場したが、いずれも1回戦敗退に終わっている。

 その後の中京大は09年春に愛知大学リーグ優勝を果たすも、わずか1年後に二部降格。まさに天国から地獄を味わった。45度の愛知学院大に次ぐ2位、33度の優勝を誇る古豪にとっては一大事である。前任者が引責辞任し、それに伴いコーチから昇格したのが半田監督だった。当時27歳と、若き監督の誕生である。

「チームの問題点、足りない部分を見直そうと、選手には厳しく接してきました。その結果、選手たちから徐々に自覚が芽生えてきましたね」

 その年に入学してきたのが、現在の主将・山中渉伍(4年・中京大中京)だった。前年の夏には「一番・遊撃手」の主将として全国制覇を成し遂げていた。1年春に初出場を果たすと、いきなり首位打者、ベストナイン、新人賞とタイトルを総ナメにした。それだけに、チームとしては悔しい降格となった。

「山中は誰よりに早く練習に出てくるし、誰よりも練習をする。彼が上級生になるにつれて、結果につなげるためにどうすべきかを考えられるようになりました」

 そんな主将の姿勢がチームに及ぼした影響は大きかった。この春は13試合のうち、実に8試合が逆転劇。清水将太(4年・麗澤瑞浪)、岡部直人(2年・いなべ総合)の両左腕が最少失点に抑え、足を絡めた終盤の攻撃でひっくり返すのが必勝パターンだ。優勝決定戦、入れ替え戦もすべてこの形で勝利をものにした。

 この春は愛知大が優勝。愛知学院大が長くその覇権を守ってきたが、その形も崩れ、現在は混戦模様になりつつある。中京大はどん欲に「昇格即優勝」を狙っていくという。

「ウチは1、2年生が多く、これから上を目指していくチーム。一部昇格で結果を出したと言うわけにはいきません。やっとスタートラインに立てたので、これからですね」

 2年生左腕・岡部の言葉も頼もしいものだった。「今は1回戦を任されている清水さんがエース。でも僕にもチャンスはあると思う。秋には『岡部が1回戦』と言われるように、エースを目指してやっていきます」

 この思考こそが力の源だ。

▲2010年から指揮を執る半田卓也監督[右]と、左腕2本柱の一角・岡部直人[2年・いなべ総合][写真=BBM]

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