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第86回都市対抗野球大会

 

64年ぶりの“大阪決戦”を制した日本生命が18年ぶりの黒獅子旗奪取


就任2年目の十河監督が東京ドームを舞った。現役時代、92年のバルセロナ五輪では、遊撃手として銅メダルを獲得した名内野手だった



 64年ぶりとなる大阪市代表同士の顔合わせとなった第86回都市対抗野球の決勝は、日本生命が延長14回の激闘の末に大阪ガスを5対3で降し、18年ぶり4度目の優勝を果たした。就任2年目での快挙達成となった十河章浩監督(近大)が、優勝のターニングポイントとして挙げたのは、昨年の都市対抗で初戦敗退した屈辱の経験だった。常に上位進出が期待される名門がゆえに、周囲から投げかけられた厳しい叱咤。その言葉を「本来、言うべきではないのかもしれないですけれど、選手にも伝えました」と、十河監督は明かした。悔しさをチーム全体で共有することで、勝利への執念が植えつけられたのだ。また昨年、一度、帰阪していたチームは全員で東京ドームへ戻り、自腹で決勝を観戦。

「決勝の舞台を肌で感じてほしかった。口では『悔しさを忘れない』と、いくらでも言えますけれど、優勝するためには本当に忘れてはいけませんから」

 こうして都市対抗での屈辱を、力に変えた日本生命は快進撃を始める。昨秋の日本選手権ではベスト4に進出。今季もJABA京都大会と東北大会で優勝し、十河監督が取り入れたメンタルトレーニングの効果も見えてきた。

「体力、技術面は他の強豪チームと遜色ないと感じていたので、差をつけるのならメンタル面だと考えました。以前は、ピンチで自分たちから崩れてしまうケースがありましたが、最近は表情や仕草を見ても、余裕が出てきたと感じます」

延長14回表に勝ち越した日本生命が大阪ガスの反撃をしのいで、18年ぶりの優勝を飾り、栄光の黒獅子旗を手にしている



 充実の1年を過ごし、東京ドームに戻ってきた日本生命。初戦の西部ガス(福岡市)戦は14安打で11点を奪い8回コールド。2回戦は昨年のチャンピオン・西濃運輸(大垣市)を相手に山本真也(東洋大)が満塁本塁打を放つなど6対1で快勝。準々決勝は延長12回タイブレークから高橋英嗣(東海大)の2点適時二塁打で昨秋の日本選手権覇者・トヨタ自動車(豊田市)に4対2と競り勝ち。続く準決勝は打率.444で首位打者賞を獲得した上西主起(中部学院大)がサヨナラ安打。先発した清水翔太(中京大)も11回を完封し、王子(春日井市)を退けた。

 試合ごとに日替わりヒーローが現れた日本生命。そして、決勝の大一番で最も光り輝いたのは5回途中から2番手で登板した藤井貴之(同大)だった・・・

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