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149キロ右腕・澤田圭佑[立大]が通算17勝目で真のエースに脱皮


 約5カ月ぶりの勝利投手。立大のエース・澤田圭佑(3年・大阪桐蔭)は法大3回戦(10月13日)を2失点完投で、5月9日の東大1回戦以来の白星を挙げた。この時点で慶大・加藤拓也(3年・慶應義塾)を抜き、単独トップに立つ現役最多17勝目。チームは4カード目で今季初の勝ち点、自身も7試合目の登板で初勝利である。試合後、久しぶりのウイニングボールを手にしても笑顔はない。8回まで無失点も、6回を除き走者を背負った。完封目前の9回に2失点、被安打10で何とか投げ切った。笑顔になれない理由が試合後、明らかとなる。

「投球内容、ボール自体も良くなかった。苦しかったです。限界……。ゲーム中のことは覚えていません」

 ロッカールームからマスクをつけて出てきた澤田は明らかに、体が重そうだった。法大との対戦を迎える2日前(木曜日)から体調不良を訴え、この日も38度の発熱ながらも、当然のように先発を務め上げた。

「頭痛があって、肩ヒジの関節、ヒザもジンジンする(苦笑)。無表情で投げていましたが、周りからは『しんどそうに見えない』と……。実は1回戦の方がひどかったです」

 立大は1回戦で1対9の大敗を喫している。澤田は味方の拙守が影響し、5回途中8失点(自責4)で敗戦投手となった。「全部、三振を取れていればよかったのであって、(エラーも)自分がバットに当たられたことから始まっている。完全に自分の力不足です」と、敗戦を背負い込んでいた。この段階でその“事実”を知る由もない。

 澤田は大阪桐蔭高3年時に甲子園で春夏連覇。エース・藤浪晋太郎(現阪神)の“スーパー・サブ”で、チームの精神的支柱としても欠かせない戦力だった。登板機会を求めた立大では、1年春から主戦級の活躍。真っすぐのアベレージは130キロ後半が中心もキレがあり、スライダー、チェンジアップなどの変化球も低めに集めてくる。同秋に5勝を挙げ、2年秋は全5カードの1回戦で勝利投手。1999年秋以来のリーグ優勝はあと1勝で逃したが、ベストナイン(5勝)を受賞している。今夏には初めて侍ジャパン大学代表のユニフォームに袖を通して金メダルを獲得し、来年のドラフト候補に挙がっている。

法大3回戦で完投し、ウイニングボールを手にする立大・澤田。178センチ90キロと堂々とした体格で投球のうまさに加え、ボール自体にも力が出てきて、来年のドラフト候補に挙がる



 順風満帆に見える内容も「そう思われるかもしれませんが・・・

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