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亡き父に捧げる涙のリーグ戦初勝利


4月10日の法大2回戦で先発した慶大・小原は5回2失点の好投。1年春のリーグ戦デビューから16試合目にしてうれしい初勝利を挙げた/写真=田中慎一郎


 慶大の左腕・小原大樹(4年・花巻東高)は父の死を乗り越え、投手として独り立ちしようとしている。

 今季開幕カードの法大2回戦(4月10日)で先発した小原は、5回2失点でリーグ戦初勝利を挙げた。

 初回に一死から4連打を浴びて2失点し、なお一、三塁のピンチを背負った。ここで慶大・大久保秀昭監督がマウンドへ行き、「このマウンドは、お前の場所なんだぞ。お前はいい投手なんだから、自信を持って堂々と投げろ」と小原を叱咤した。「『ここからいくぞ!』と再スタートが切れた」という小原は後続を断ち、2回以降は追加点を許さず。味方打線が2本塁打を含む15安打と援護して8対2で勝利した。1年春の早大1回戦でリーグ戦デビューして以来、16試合目の登板でようやく手にしたウイニングボール。「長かったですね。味方のバックアップのおかげで勝てました」と表情を和ませた。

 3月26日、父・誠さんが肝臓がんで他界した。できないことがあれば、できるまでやるように厳しく指導する人だったという。「落ち込むのは父も許してくれない。やるしかない気持ちです。今季1試合目の先発で、父にウイニングボールを渡すと決めていました」。小原の目は少し潤んでいたが、涙を流すことはなかった。

 父が亡くなった翌日、小原は実家のある岩手県に帰らず、六大学社会人対抗戦のセガサミー戦で予定どおり先発。「投げてから帰ったほうが、父もうれしいのかなと思いました」。

 そんな小原に、大久保監督は・・・

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