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東大から2004年秋以来ベストナイン受賞の背景


今春最終戦の法大3回戦。7点を追う9回裏一死から左前打を放ち、リーグ4位タイの打率.333[42打数14安打]とし、堂々のベストナインに輝く/写真=中島奈津子



「二塁には半径10メートルの大きな穴があいている」。前主将で攻守の要だった塁手・飯田裕太(東邦ガス)が卒業した今春、東大・浜田一志監督はリーグ開幕を前にそう懸念していた。

 その穴を桐生祥汰(4年・西高)が埋めた。今春は主に「一番・二塁」で全13試合に出場。リーグ4位タイの打率.333、わずか1失策と2004年春以来のシーズン3勝に貢献し、東大では04年秋の太田鉄也外野手以来となるベストナインに輝いた。桐生が「雲の上の人」と尊敬する飯田ですら、受賞できなかったベストナイン。3年間で無安打の桐生は驚きながら言った。

「飯田さんは越えられない壁。受賞はうれしくもあり、恐れ多くもある。チーム全員で戦って、いろいろな人の支えがあって取れた賞です。チームの代表として受け取りたい」

 高校3年時、「神宮でレベルの高い選手と競いたい」と東大志望。3年夏の西東京大会初戦敗退後、夏休みは1日12時間勉強するなど、猛スパートで文科II類に現役合格した。

 東大入学後は、飯田が高い壁となる。攻撃ではバントのうまさ、守備ではポジショニングなどを見習いつつ、「どうしたら飯田さんに少しでも近づけるのか」と考え続けた。「試合に出られないのは悔しい。レギュラーに負けないものを一つ持ちたい」。桐生が活路を見出したのが「足」だった。50メートル6秒2はチームでトップクラス。その走力が浜田監督の目に留まり、2年秋に代走としてリーグ戦デビューを果たす。

 昨年冬、飯田が抜けた二塁のポジションを水島拓郎(3年・洛星高)らと争った。桐生は全体練習後、自主練習でゴロ捕球の練習を反復した・・・

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