リズムを呼び寄せた大会通じたビッグイニング

　1点差(3対2)に詰め寄られて、なおも無死三塁。日本通運の9回表の追い上げムードに、ヤマハの美甘将弘監督(東北福祉大)は正直「同点を覚悟した」という。その時、マウンドに立つ左腕・九谷青孝(東農大)の心境はどうだったか。

「僕を選んでくれた、その信頼に応えたいと思った。『俺がやるんだ』という思いで投げた」

　先発の左腕・池田駿(専大=巨人4位)からマウンドを譲り受けたのは8回途中。ゲームの“締め”を託された九谷は、ベンチの想いを背負って9回表もマウンドに立っていた。

　無死三塁――。二番・松本歩己(早大)をショートゴロに打ち取った九谷は、左打席に立つ三番・藤嶋宏俊(関大)をアウトローへのスライダーで空振り三振に仕留める。単打や犠飛でも同点となる場面。強振する藤嶋に対し、変則左腕は冷静だった。

「(藤嶋に対して)三振を狙いにいった。内を攻めておいて、決め球はスライダー。イメージどおりでした」

　美甘監督が振り返る・・・