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第42回社会人野球日本選手権

「V候補」と言われ続けた現実と苦悩 プレッシャーと闘った日本新薬の「ひたむきさ」

 

3月のJABAスポニチ大会を制した日本新薬は都市対抗8強、日本選手権は2回戦敗退と頂点に手が届かなかった/写真=松村真行


 京セラドームをあとにするバスでのことだった。乗車する足を一瞬止め、入社7年目を迎えた日本新薬・福田泰平(立命大)は、岩橋良知監督(中京大)に語りかけてきた。

「本当にすみません……」

 目には涙。「号泣だった」と振り返る岩橋監督は、福田にこんな言葉を返したのだという。

「泣くな、おまえがこの経験を下(の選手)に伝えなければいけないんだ」

 王子との一戦は両チーム無得点で迎えた8回裏に試合が動いた。二死一、二塁と攻めた王子は四番・伊礼翼(九州共立大)が中前安打を放つ。打球に対し、中堅手の福田は猛チャージをかけた。だが、「先取点は絶対に許さない」という気負いが影響しただろうか。福田が打球を捕り損ね、日本新薬が一気に二人の生還を許したのはその直後だ。結果的にそこでの失点が決勝点に。優勝候補と目されていた日本新薬は、無念の2回戦敗退となった。

 昨年は二大大会ともに8強進出。着実に地力をつけてきた日本新薬は今春の東京スポニチ大会で優勝を手にした。エース・榎田宏樹(日本文理大)の安定感は揺るがない。左の強打者である新人の中稔真(上武大)らも加わった打線は厚みを増した。そして何よりも、最大の強みは・・・

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