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【練習試合】2022年夏・奈良大会決勝再戦

白球を通じて友情深めた天理高と生駒高の“真剣勝負”

 

9月11日の試合後は生駒高が今夏の甲子園出場の際に天理高へ贈った『つなぐ心ひとつに」の横断幕の前で集合写真に収まった


「0対21」を経て「2対3」最後は両校がナンバーワンポーズ


 7月28日に行われた奈良大会決勝。同26日の準決勝で智弁学園高を7対5で下し、初の決勝進出を決めた生駒高だったが、新型コロナウイルスによる体調不良者が続出。天理高との決勝はメンバー20人のうち12人を変更する事態となった。結果は天理高が21対0と勝利し、5年ぶり29回目の甲子園出場を決めた。だが、生駒高の無念をくみ、マウンド付近での歓喜は封印し、淡々と試合後の整列に並んだ。

 天理高の相手を思いやるリスペクトの姿勢は、多くの共感を呼んだ。生駒高野球部保護者会は感謝の意を示すため、天理高の甲子園1回戦に合わせて『つなぐ心ひとつに』の横断幕を贈った。すると、天理高は2回戦に生駒高の部員たちをアルプス席に招待。白球を通じて両校は友情を深め、天理高・中村良二監督から「生駒高校さんさえ良ければ、練習試合をさせてもらえたら」と、決勝再戦への話が浮上した。甲子園後に天理高・笠井要一部長が奈良県高野連に相談を持ちかけ9月11日、夏のメーン会場である佐藤薬品スタジアムでの試合開催が実現したのである。

 7月28日の決勝後、生駒高ではしばらく感染拡大の影響が続き、3年生15人が集合できたのは8月13日。そのときに初めて奈良大会の準優勝メダルが手渡されたという。それから夏休みはしばらく受験勉強の日々が続き、試合開催を受け、3年生が練習を開始したのは2学期が始まった9月7日だった。普段から自主練習が多く、それぞれが目的をもって体を動かしながら、この日に備えてきた。

 決勝再戦の生駒高の先発は、8人が準決勝と同じ。審判員4人も決勝と同じ顔ぶれ。スタンドには両校の3年生の保護者、1、2年生の部員が詰めかけ、両校ともオール3年生で臨んだ。試合前のシートノックは両校合同で行われた。開始のサイレンが鳴り、両ベンチから選手が飛び出すと、それぞれがポジションにつき「おぉ〜」というどよめきが。7分間のノックが終わると、スタンドからは割れんばかりの拍手が起きた。

あと一死の場面で打ち合わせ


 生駒高の先発マウンドには智弁学園高との準決勝で5失点完投したエース・北村晄太朗が上がった。決勝で登板できなかった思いをぶつけた。初回に連打を浴びてピンチも後続を断ち無失点に。3回表に天理高が二番・原叶大の中前適時打で先制した。生駒高は6回表に一番・飯田智規の左前安打を足がかりに、3連打で2点を挙げて逆転。直後の6回裏、天理の四番・内藤大翔が左翼席へ同点ソロアーチを放つ。打った瞬間にそれと分かる強烈な一打に、生駒高サイドのスタンドからも大きな拍手が沸いた。その後、満塁から内野ゴロの間に天理高が1点を勝ち越した(3対4)。

 試合は7イニング制で行われたため7回表・・・

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