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2013大谷翔平の挑戦

大谷翔平[日本ハム]“二刀流”挑戦を追う Chapter3

 



二刀流に挑む大谷翔平の1年目のキャンプが終わった。
大きな注目を集める中、投打ともにインパクトを与え、素質の高さは浮き彫りとなった。
一軍キャンプに合流後も存在感は増す一方。
だが現時点で高いレベルにあるのは「打者・大谷」。
投打の成長度合いにある開きが今後の育成&起用法に、
どういう影響を与えていくのか。

 大谷翔平が約1カ月間に及んだキャンプをまずは順調に終えた。「100点でいいと思います。ピッチングもバッティングも、いい練習ができたと思います。最初はバテたりもしましたけど、徐々に後半は慣れていきました」。本人も手応えを口にするように、周囲の不安をよそに与えられたメニューを確実にこなしてきた。だが、その進行度には投打で開きが生じてきたのも事実だ。

▲充実した表情で約1カ月間のキャンプを振り返った大谷。ここから先は投打でアピールして開幕一軍を目指す戦いへと突入する



 「打者・大谷」が「投手・大谷」を引き離して前に進んでいる。2月23日の阪神とのオープン戦で対外試合デビューを果たすと、26日の広島との練習試合でも中崎から一、二塁間を破る初安打。2ボール2ストライクと追い込まれた状況で、129キロのスライダーにバットを合わせた。「2ストライクから低めのスライダーを打てて良かったです。追い込まれてからも、直球しか考えていなかった」。ストレート待ちの姿勢を変えず、それでも変化球に見事に対応した。報道陣から感想を求められた栗山監督は「見てのとおり」と多くは語らなかったが、「一軍そのものに慣れてくれている」と存分に自分の力を発揮してくれていることを喜んだ。

 実戦経験を積んで安打も放っている打者とは対照的に、投手としてはままだまだやるべきことが多い。キャンプ最終日の28日に一軍キャンプ合流後初めてのフリー打撃に登板した。最速150キロをマークし、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップも披露。一軍実績のある今浪、鵜久森に対して41球を投げ、安打性4本に抑えた。「左打者(今浪)には抜けたボールが多かったですけど、右打者には今までで一番良かったと思います」。黒木投手コーチも「僕が見た中で一番力強い球がいっていた。一級品だなと思った」と素質の高さにほれ込んだ。だが、実戦登板はいまだゼロ。フリー打撃にもかかわらず、ボール球も目立つために高いポテンシャルを秘めながらもいまだ粗削りであることはぬぐえないのが現実だ。

▲キャンプ最終日には一軍合流後初のフリー打撃にも登板。キレのある直球と多彩な変化球を披露した



 とはいえ、持っている素質は投打ともに新人離れしている。フリー打撃に登板後、自身の打撃練習で5本のサク越えを見せた大谷に対し、栗山監督は「(登板を)見ているみんなは、投手で使うんだろうなと思ったはず。でも最後のフリー打撃を見て、やっぱり打者で使うんだろうなとも思ったでしょ(笑)」。未知なる才能はどう開花していくのか。今後がますます楽しみになってきた。
大谷翔平 二刀流挑戦を追う

大谷翔平 二刀流挑戦を追う

入団1年目、大谷翔平の二刀流挑戦を追った短期連載企画。

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