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走者が野手に視界をさえぎられタッチアップに失敗したら?

 

 無死走者三塁で打者は左翼へフライを打ちました。このとき遊撃手は三塁走者の前に大きく両手を広げて立ち、左翼手が捕球するのをすぐ確認できないようにしました。少しでもスタートが遅れれば、本塁でアウトにできると考えたのです。結果はスタートが遅れ、三塁走者は本塁でアウトになりましたが、この遊撃手のプレーは許されるでしょうか。

 完全に違反であり、走者の得点は認められ、遊撃手には失策が課せられます。

 04年8月6日のデビルレイズ対マリナーズ戦で実際にあったプレーです。1対1の同点の10回裏の一死満塁で、デビルレイズのティノ・マルティネスは左翼フライを打ちました。三塁走者は俊足のカール・クロフォードですから、サヨナラ勝ちは間違いなしと思われたそのとき、マリナーズのホゼ・ロペス遊撃手はクロフォードの前に立って視野を妨げ、左翼手が捕球するのをすぐに確認できないようにしたのです。

 この行為に対し、審判は遊撃手の走塁妨害を宣告し、クロフォードの得点を認めたのです。

 オブストラクションの規則である7.06(a)にはこうあります。「走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われている場合、または打者走者が一塁に触れる前にその走塁が妨げられた場合には、ボールデッドとし、塁上の各走者はオブストラクションがなければ達しただろうと審判員が推定する塁まで、アウトのおそれなく進塁することが許される」

 さらに、失策の規則である10.12(c)には「審判員が打者または走者にオブストラクションで進塁を許したときには、このような妨害行為を行った野手に失策を記録する(以下略)」とあるのです。

 したがって、クロフォードの得点は認められ、ロペス遊撃手に失策が記録されるのです。

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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