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打球がユニフォームの中にスポッ! 審判員の取るべき処置は?

 

投手は目の前に転がってきた打球をつかんで一塁に投げようとしましたが、バウンドしたボールが投手の首元からユニフォームの内側に飛び込んでしまいました。投手はボールをつかもうと、あわててユニフォームの中に手を差し込みましたが、ボールをつかめません。この場合の審判員の取るべき処置は。

 打者走者が一塁に達する前に、投手が一塁に送球できなければ、打者は一塁に生きることになります。ユニフォームの中にボールが飛び込んだときの処置まで、野球規則ではカバーしておらず、成り行きのままで処理するしかありません。

 メジャー・リーグで本当にあったプレーで、日本人が絡んでいました。2009年7月28日のリグレー・フィールドのカブス対アストロズ戦のことです。カブスの福留孝介が打った打球は、アストロズのジェフ・ファルチーノ投手のユニフォームの第一ボタンのところから中に飛び込んでしまったのです。ボールはユニフォーム奥深くまで入ってしまい、投手がボールを手にしたときには、福留は一塁にゆうゆうセーフとなっていました。

 1979年のメッツ対カブス戦ではこんな事件がありました。カブスの外野手ラリー・ビットナーはメッツのブルース・ボイスクレアーが打った低いライナーの打球をスライディングキャッチしようとしました。

 ビットナー外野手は起き上がり返球しようとボールを探しましたが、どこにも見当たりません。ボールはスライディングしたときに脱げてしまった帽子の下に隠れてしまっていたのです。ビットナー外野手がボールを探す間に、打ったボイスクレアーは一挙に三塁まで進んでいました。福留の場合もボイスクレアーの場合も野手に失策をつけるわけにもいかず、両方とも安打と記録されました。ただし、ボイスクレアーは直後に野手の送球によりアウトになりました。やはり気が動転していたのでしょう。

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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