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霧のためボールが見えづらくなった場合、ノックを打って審判に判断を仰ぐことは可能?

 

濃い霧がたち込め、外野手は打球を見失いがちで苦労しています。これを見てホームチームの監督は、試合の一時中断を申し入れてきましたが、審判は取り合いません。そこでホームチームの監督は、外野へノックを打ち上げて、打球の見づらさを証明し、審判に判断してもらおうと提案してきました。このようなことは許されるでしょうか。

 審判はあくまでも独自の見解で試合続行の可否を決定すべきで、ノックしてテストする必要などありません。

 野球規則3.10(a)には、

「ホームチームだけが、天候、競技場の状態が試合を開始するのに適しているかどうかを決定する権限を持っている(以下略)」

 とあります。

 これは試合開始前のことで、始まってからのことについては4.01(e)にこう決められています。

「ホームチームの打順表が球審に手渡されると同時に、競技場の全責任は、各審判員に託される。そして、その時を期して、球審は天候、競技場の状態などに応じて、試合打ち切りの宣告、試合の一時停止あるいは試合再開などに関する唯一の決定者になる(以下略)」

 昔は問いにあるように、ノックを提案することがよくありました。82年7月7日に西武球場で行われた西武-近鉄戦は、6回表を終わって近鉄が6対1とリードです。ところが、その裏の西武の攻撃中にモヤが濃くなって、近鉄の西本幸雄監督から「外野にボールが飛んでも見えないから試合を中止すべきだ」という申し入れがありました。

 審判団が協議の結果、ノックしてテストすることになりましたが、西武の外野手は捕球しても、リードしていて試合を中止したい近鉄の外野手は、ボールを見失った格好をします。試合は結局、20分中断された後、再開されましたが、パ・リーグではこの後、選手の立ち会いなど求めず、あくまでも審判団の独自の判断で決定するようにして、現在に至っています。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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