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同一打者のときに同一投手のもとへ監督が2度行った場合の処置は?

 

リリーフに送った投手が1球目に暴投し、一塁走者を二塁に進めたので、監督は注意しに行きました。しかし、2球目もまた暴投です。たまりかねて監督は、再び投手のもとに行きましたが、プロ野球では規則8.06によって、同一イニングに同一投手のところに2度行けば、その投手は交代しなければならないはずです。さらに、同一打者のときには行けないのに、それを無視したのです。

一方、救援投手は最初の打者をアウトにするか、出塁させるまで交代できない規則があります。この場合は、どちらの規則が優先するのでしょうか。


 あくまでも野球規則3.05(b)の、

「ある投手に代わって救援に出た投手は、そのときの打者または代打者がアウトになるか一塁に達するか、あるいは攻守交代になるまで、投球する義務がある」

 が優先します。また、8.06[原注]に次のような規則があるので、明確に処理できます。

(一部抜粋)「監督がすでに1度投手のもとに行っているので、同一イニングで同一投手へ、同一打者のときには、もう1度行くことはできないと審判員が警告したにもかかわらず、監督が行った場合、その監督は試合から除かれ、投手はただちに退かないでその打者がアウトになるか、走者になるまで投球し、その義務を果たした後に試合から退かなければならない」

 しかし、いかに規則3.05(b)が前提になるとは言っても、審判から退場を命じられた投手まで、それが適用されることはありません。

 63年8月11日の巨人阪神ダブルヘッダー第2試合(後楽園)で、巨人は7回裏に一死二、三塁のチャンスを迎えました。ここで阪神は投手を本間勝から村山実に代えましたが、最初の打者の池沢義行の5球目の判定に対し、審判員に暴言を吐いたので、退場を命じられました。

 もちろん即、退場となるので、この試合の村山投手の投手成績は「打者0」となります。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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