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捕手が逸らした投球をマスクで止めて処理し、走者をアウトにするのは認められる?

 

無死三塁で、捕手は投球を弾いてしまいました。あわててボールを追った捕手は、右手を伸ばし持っていたマスクでボール止め、すぐ拾って本塁をカバーした投手に送球して、突っ込んできた三塁走者をアウトにしましたが、これは認められるプレーでしょうか。

このプレーは認められず、三塁走者はアウトを取り消され得点が許されます。 打球にグラブを投げ当てたときには、記録上は三塁打となるのは有名な規則です。7.05(c)には、以下のように記されています。

「3個の塁が与えられる場合――野手が、グラブを故意に投げて、フェアボールに触れさせた場合」

 08年5月4日のロッテ西武(千葉マリン)ではロッテの二塁手・オーティズが一、二塁間を抜きそうな打球を、グラブを投げつけて止めました。このとき打った西武の栗山巧には三塁打が記録されました。

 その前の7.04には、「打者を除く各走者は、アウトにされるおそれなく1個の塁が与えられる」として、(e)に「野手が帽子、マスクその他着衣の一部を、本来つけている個所から離して、投球に故意に触れさせた場合」とあります。

 メジャーでこんな珍事がありました。95年8月12日のドジャース対パイレーツ戦のことです、この試合は7対7で延長に入りましたが、10回表にパイレーツが3点を挙げると、その裏ドジャースも3点を入れ同点というものすごい打ち合いでした。

 ドジャースは延長11回裏に一死二、三塁のチャンスを迎えました。ここでパイレーツのアンジェロ・エンカナシオン捕手は投球をそらしましたが、足元に転がるボールをマスクを差し出して止めたのです。そのため三塁走者は得点できませんでしたが、すかさずドジャースのトム・ラソーダ監督がベンチを飛び出し、「ルール違反だ」とアピールしたのです。当然、三塁走者の得点が認められ、ドジャースは11対10でサヨナラ勝ちとなりました。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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