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ストライクコースの投球が打者の体に当たった場合の処置は?

 

カウント3ボール2ストライクのフルカウントです。次の投球は、完全なストライクコースでしたが、打者が本塁上に乗り出すように構えていたので、その肩に当たってしましました。このとき、打者は確かに避けようと試みていましたが、避け切れなかったのです。この場合、球審はどう宣告すべきでしょうか。

三振を宣告すべきです。野球規則6.08は打者が安全に進塁できるケースが記された規則で、その(b)には「打者が打とうとしなかった投球に触れた場合」一塁が与えられるとあります。しかし、その規則には続きがあります。

「ただし、(1)バウンドしない投球が、ストライクゾーンで打者に触れたとき、(2)打者が投球を避けないでこれに触れたときは除かれる。バウンドしない投球がストライクゾーンで打者に触れた場合には、打者がこれを避けようとしたかどうかを問わず、すべてストライクが宣告される。しかし、投球がストライクゾーンの外で打者に触れ、しかも、打者がこれを避けようとしなかった場合には、ボールが宣告される」

 投球が打者に当たればすなわち死球であるとは限らないのです。

 74年まで広島で代打男として鳴らした宮川孝雄選手は本塁上にかぶさるように構えていたので死球が多い選手でした。1124打席で51死球とは約22打席に1死球です。通算1位の衣笠祥雄選手(広島)でも1万634打席で161死球ですから、66打席に1個の割合です。

 72年6月20日の阪神-広島戦(甲子園)のことです。6回の二死満塁に代打に起用された宮川選手は、カウント1ボール2ストライクから山本重政投手の投球を右肩に受けました。死球で押し出しかと思われましたが、球審の宣告はストライクで三振です。

 言うまでもなく、投球が当たったとき、左打者・宮川選手の右肩はストライクゾーンにあったからです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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