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前進守備を敷いた野手がトンネルした打球に走者が触れた場合の処置は?

 

無死走者一塁で内野手はバントに備えて前進守備をしています。ここで打者は二塁ゴロを打ちましたが、二塁手はこの打球をトンネルしてしまいました。ところが、この打球が二塁手の後ろを走っていた一塁走者の足に当たりました。審判がこれに対し黙っていると、守備側の監督は打球が走者に当たったのだから、走者はアウトではないかと抗議してきました。この場合、どう判定すべきでしょうか。

 トンネルした打球に触れたのでは、走者はアウトになりません。野球規則7.09(k)に「野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者に触れた場合」として、こう記されています。「走者はアウトであり、ボールデッドになる」。そして、この規則には続きがあります。

「ただし、走者がフェアボールに触れても(1)いったん内野手(投手を含む)にフェアボールが触れた場合(2)1人の内野手(投手を含む)に触れないで、その股間または側方を通過したフェアボールに、すぐその後方で触れても、その打球に対して他のいずれかの内野手も守備する機会がない場合には、審判員は、走者が打球に触れたという理由でアウトを宣告してはならない」

 つまり、内野手がトンネルした打球に触れた場合は、この(2)が適用されるのです。

 85年7月9日のロッテ-阪急戦(川崎)の8回裏、ロッテ攻撃のときです。一死満塁で西村徳文が二ゴロを打つと、阪急の村上真一二塁手がグラブに触れずにそらしてしまいました。その打球は大きくはねて一塁走者の水上善雄の肩に当たり、2点入りました。

 阪急の上田利治監督から打球に当たった水上はアウトであり、同時にボールデッドになるので、二塁走者の得点は認められないはずだと抗議がありましたが。審判団は当然、これを却下しています。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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