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1対1の9回裏一死満塁、打球がワンバウンドで外野フェンスを越えた場合、結果は2対1?

 

1対1の同点の9回裏一死満塁で、打者は左翼スタンドにワンバウンドで入る二塁打を打ちました。三塁走者はもちろん、二塁走者もホームを踏みましたが、球審は1点しか認めず2対1でサヨナラ勝ちとなりました。攻撃側はエンタイトルツーベースだから2点認められるはずだと主張しています。

 攻撃側の主張ももっともなのですが、この場合は二塁打とはならず、スコアは2対1です。83年6月1日の巨人中日戦(後楽園)で、巨人は7対7の同点の延長11回裏に、三番の篠塚利夫がワンバウンドで右翼フェンスを越える当たりを打ちましたが、記録はシングルで8対7の勝ちとなりました。

 野球規則10.06(f)にこうあります。

「10.06(g)の場合を除いて、最終回に安打を放って勝ち越し点をあげた場合、打者には勝ち越し点をあげた走者がその安打で進んだ塁と同じ数だけの塁打しか記録されない。しかもその数だけの塁を触れることが必要である」

 さらに[原注]として「6.09および7.05の諸規定によって、打者に数個の安全進塁権が認められて、長打が与えられたときにも、本項は適用される」と念を押しています。6.09あるいは7.05はエンタイトルの規則で、打球がバウンドして外野席に飛び込んだ場合などの処置を述べています。

 例外は打者がフェンス越えの本塁打を打った場合で、このときだけは打者および走者が挙げた得点の全部が記録されます。10.06(g)はこのことをいっているのです。

 しかし、10.06(g)の「最終回、打者がフェンス越えの本塁打を放って試合を決した場合は、打者および走者があげた得点の全部を記録する」の項が追加されたのは1920年のことです。それまではフェンス越えの本塁打でも、打者には決勝走者が進んだだけの塁数しか与えられませんでした。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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