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同点の9回裏、二死満塁から四球。一塁走者だけが次塁を踏まず、ベンチに引き揚げた場合の処置は?

 

同点の9回裏、ホームチームは二死満塁から打者が四球を選びました。三塁走者は本塁を踏み、サヨナラ勝ちと思われましたが、一塁走者が試合は終わったと思い二塁ベースを踏まず、ベンチへ戻ってきました。これを見た二塁手は捕手からボールをもらってベース上に立ち、一塁走者は封殺だから、得点は取り消しだと主張してきました。

 この場合の得点は認められるのです。有名なマークル事件をご存じの方は、得点が認められることに首を傾げるかもしれません。1908年(明治41年)に、ニューヨーク・ジャイアンツがシーズン終盤のカブス戦に中前安打してサヨナラ勝ちしたと思われたとき、一塁走者のフレッド・マークルが二塁ベースを踏まないでベンチに帰っていたばかりに、アピールされ得点を取り消されてしまった事件です。結局、この試合が引き分けで終わったばかりに、ジャイアンツは優勝を逸したので、史上最大のボーンヘッドとして、いまだに語り草になっています。

 二死後、走者が封殺されたときは、いくらその前に本塁を踏んでいても得点にならないのは、いまも昔も変わりません。しかし、四球でサヨナラ勝ちのときは、打者と三塁走者がちゃんと次の塁に進んでいれば、得点は認められるのです。

 野球規則4.09(b)の[注]には、

「たとえば、最終回の裏、満塁で、打者が四球を得たので決勝点が記録されるような場合、次塁に進んで触れる義務を負うのは、三塁走者と打者走者だけである。三塁走者または打者走者が適宜な時間がたっても、その義務を果たそうとしなかった場合に限って、審判員は、守備側のアピールを待つことなくアウトの宣告を下す」

 とあります。

 しかし、プロ野球ではたとえ四球の場合でも、走者は必ず次塁を踏まなければならないとしてきました。プロもアマと同じ解釈をとるようになったのは、79年からです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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