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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

フルカウントからのボール球、打者も球審も気づかずプレーが続き、次の球を空振りした場合は三振? 四球?

 

カウント3ボール2ストライクからの投球は明らかなボールとなりましたが、ボールカウントが頭に入っていなかった打者は打席に立ったままです。球審も四球を告げることなくプレーを続行し、打者は次の投球を空振りしました。このとき、攻撃側はボールカウントの間違いに気づき、審判に「打者は四球のはずだ」と抗議してきましたが、この場合、打者は四球と三振どちらになるのでしょうか。

 打者は三振になります。審判がボールカウントを間違えることはプロ野球でもたまにあります。

 1978年6月21日のロッテ-クラウン戦(川崎球場)のダブルヘッダー第2試合で起こったプレーは質問とそっくり同じものでした。

 9回表のクラウンの先頭打者・山村善則はカウント3ボール2ストライク後のボールの投球を見送りましたが一塁へ歩かず、球審も何も言いません。そのうちにロッテの村田兆治投手は次の球を投げてきて、それが「ストライク」の宣告。

 カウントの間違いに気づかない山村選手は、ベンチのスコアラーから本当は四球だと教えられ、一塁へ歩きかけましたが、時すでに遅しです。野球規則9.02(b)の[注2]には、以下のように記されています。

「審判員が、規則に反した裁定を下したにもかかわらず、アピールもなく、定められた期間が過ぎてしまったあとでは、たとえ審判員が、その誤りに気づいても、その裁定を訂正することはできない」

 この規則にある「定められた期間」は、アピールプレイの規則である7.10に記されています。

「本条規定のアピールは、投手が打者へ次の1球を投じるまで、または、たとえ投球しなくてもその前にプレイをしたりプレイを企てるまでに行わなければならない」

 たとえ審判の間違いでも、次のプレーが企てられるまでにアピールがなければ、プレーは続行です。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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