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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

インフィールドフライが宣告された打球が野手に触れずにファウルグラウンドに出た場合の処置は?

 

一死一、二塁で打者は三塁手の頭上にフライを打ったので、審判は「インフィールドフライ」を宣告しました。この宣告を聞いた三塁手はグラブを引っ込めたので、グラウンドに落ちた打球はファウルグラウンドに転がり出ました。審判はあらためて「ファウル」を宣告しました。インフィールドフライを宣告された打球がファウルになることがあるのでしょうか。

 野球規則のインフィールドフライの定義40にこうあります。

「インフィールドフライと宣告された打球が、最初に(何物にも触れないで)内野に落ちても、ファウルボールになれば、インフィールドフライにならない」

 問の場合、三塁手はインフィールドフライと宣告されたので打者は即アウトと判断し、手を出さなかったのでしょう。このとき、たとえボールをつかまなくても、ボールに触れていればフェアになるのです。フェアボールの定義25の(e)には「フェア地域内またはその上方空間で、審判員またはプレーヤーの身体に触れたもの」とあります。

 内野手がつかめる打球をファウルにしたので、内野手に失策が記録されたことが65年8月4日の大洋-巨人戦(川崎)の3回表の巨人の攻撃でありました。

 一死一、二塁で森昌彦がマウンド左に高いフライを打ったので、球審は「インフィールドフライ」を宣告しました。すると、これを聞いたクレス三塁手が手を引いたので、ボールは地面に落ちるとファウルグラウンドに出てしまいました。クレスには「打者の打撃の時間を延ばした」という規則9.12(a)の(1)を適用され失策が記録されました。

[お断り]公認野球規則は昨年、アメリカで大幅に改正され、日本でも16年版よりそれにならいました。したがって、本ルール教室でも新規則書に準拠してあります。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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