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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

打者の手からすっぽ抜けたバットがベースカバーに入る一塁手の前に。守備妨害は成立する?

 

打球は三塁手の前に転がりましたが、打者の手からすっぽ抜けたバットは一塁手の前に飛んでいきました。一塁手はこのバットを避けようと二塁方向に動いたので、一塁ベースに入るのが遅れ三塁手は送球できませんでした。この場合でも守備妨害が成立しますか。

 守備妨害は成立し、打者にアウトが宣告されます。折れたバットが野手の前に飛べばボールインプレーですが、バット全体が飛べば守備妨害になります。

 打者アウトの規則である5.09(a)(8)の【原注】には「バットの折れた部分がフェア地域に飛び、これに打球が当たったとき、またはバットの折れた部分が走者または野手に当たったときは、プレイはそのまま続けられ、妨害は宣告されない。打球がバットの折れた部分にファウル地域で当たったときは、ファウルボールである」とあります。

 つまり折れたバットは守備妨害の対象にはならないのです。しかし、折れないバットの場合には違います。先ほどの【原注】は、こう続きます。

「バット全体がフェア地域またはファウル地域に飛んで、プレイを企てている野手(打球を処理しようとしている野手だけでなく、送球を受けようとしている野手も含む)を妨害したときには、故意であったか否かの区別なく、妨害が宣告される」

 この珍しいプレーを見たことがあります。85年9月14日の日本ハム対南海(後楽園球場)のことです。3回裏に一死無走者で日本ハムの島田誠の打球は投手の横に転がりましたが、バットは一塁手のナイマンの前へ飛んで行きました。ナイマンはこのバットをうまく避けて一塁ベースに入り、投手からの送球を受けて事なきを得ましたが、入るのが遅れ島田誠がセーフになれば守備妨害が成立し、島田にアウトが宣告されるところでした。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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