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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

バウンドしてスタンドに飛び込みそうな打球を、スタンド前方のファンが妨害。この場合の判定はどうなる?

 

左翼フェンス前で大きくバウンドした打球は、誰の目にもそのままスタンドに飛び込むと見えたのですが、スタンド前方に座っていたファンは、ボールをグラウンドにたたき落としました。すぐにボールを拾った左翼手は二塁に送球し打者をアウトにしましたが、このアウトは認められますか。

 認められず、これは二塁打として処理されます。明らかな観衆の妨害です。今年の6月15日、巨人楽天[東京ドーム]で、観衆の妨害がありました。7回表の楽天の攻撃、無死一塁でオコエ瑠偉が打ったフライが右翼ファウルゾーンのエキサイトシート際に飛びました。長野久義右翼手が打球に追いつくも、その前にファンが体を乗り出して捕球し、勢い余ってフィールド内に転げ落ちました。

 ここで適用されたのが規則6.01(e)の観衆の妨害です。「打球または送球に対して観衆の妨害があったときは、妨害と同時にボールデッドとなり、審判員は、もし妨害がなかったら競技はどのような状態になったかを判断して、ボールデッド後の処置をとる」とあります。

 したがって、この場合は二塁打と見れば打者を二塁まで進めます。オコエの打球の場合は、[規則説明]として次に出ています。「観衆が飛球を捕らえようとする野手を明らかに妨害した場合には、審判員は打者に対してアウトを宣告する」というのです。

 また、同[原注]には「野手がフェンス、手すり、ロープから乗り出したり、スタンドの中へ手を差し伸べて捕球するのを妨げられても妨害とは認められない。野手は危険を承知でプレイしている。しかし、観衆が競技場に入ったり、身体を競技場の方へ乗り出して野手の捕球を明らかに妨害した場合は、打者は観衆の妨害によってアウトが宣告される」とあります。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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