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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

塁審はワンバウンド、球審はアウトの宣告。同じ打球に2つの宣告が下された場合、最終的な判定はどうなる?

 

一死三塁で打者は一塁へのライナーを打ちました。一塁塁審はワンバウンドのジェスチャーをしましたが、球審は一塁手は完全に捕球したとしてアウトの宣告です。こうして同じ打球に2つの宣告が下された場合は、どうしたらよいのでしょう。

 同じ打球に2つの判定が下された場合の処置は規則8.03の球審および塁審の任務の(c)に詳細に説明されています。

「一つのプレイに対して、2人以上の審判員が裁定を下し、しかもその裁定が食い違っていた場合には、球審は審判員を集めて協議し(監督、プレーヤーをまじえず、審判員だけで)、その結果、通常球審(または、このような場合には球審に代わって解決にあたるようにリーグ会長から選任された審判員)が、最適の位置から見たのはどの審判員であったか、またどの審判員の裁定が正しかったかなどを参酌して、どの裁定をとるかを決定する」

 問題のプレーは15年10月2日のヤクルト阪神[神宮]でありました。審判員が集まり協議の結果、球審がもっとも打球を見やすい位置にいたとして、完全に捕球したという球審の判定が優先されました。実はこのとき、一死三塁で阪神の梅野隆太郎が打ったライナーをヤクルト一塁手の畠山和洋が横っ飛びで捕球。一塁塁審はワンバウンドで捕球のジェスチャーをしましたが、球審はアウトの判定をしていました。一塁塁審を見た三塁走者の阪神・江越大賀が本塁を踏んでいたため、三塁にボールが転送されて併殺となったので、阪神から抗議が出て、試合は約10分も中断されました。

 8.03(c)には次のような続きがあります。「このようにして、決定された判定は最終のものであり、初めから一つの裁定が下された場合と同様に、試合は続行されなければならない」というのです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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