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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

1死一、二塁で打者は二遊間のゴロ。この打球を2塁走者が拾い上げて遊撃手にトス。この場合の処置は?

 

一死一、二塁で打者は二遊間にゴロを打ちました。併殺可能と見えたこの打球を、二塁走者が拾い上げ、そばにいる遊撃手にトスしました。これはどう処置すべきでしょうか。

 前号に続き、走者の反則行為に関する規則です。反則行為を述べている規則6.01の(6)には「走者が、明らかに併殺を行わせまいとして故意に打球を妨げるか、または打球を処理している野手を妨害したと審判員が判断したとき、審判員は、その妨害をした走者にアウトを宣告するとともに、味方のプレーヤーが相手の守備を妨害したものとして打者走者に対してもアウトを宣告する。この場合、ボールデッドとなって他の走者は進塁することも得点することもできない」とあります。質問の場合では二塁走者と打者走者がアウトとなります。

 6.01の(7)によると打者走者が明らかに妨害して併殺を妨害したときは、打者走者がアウトになるとともに、どこで併殺が行われようとしていたかに関係なく、本塁に最も近い走者をアウトにするとも決められています。これらの規則が規則書に登場したのは1964年と比較的新しいものですが、57年にこんなプレーがありました。

 ブレーブス対レッズ戦の1回裏、レッズの攻撃で、当時の野球規則では対処し切れないハプニングが発生しました。一死一、二塁で、打者が打ったゴロを二塁走者が拾い上げ、すぐ後方にいたブレーブスのローガン遊撃手にトスしたのです。当時は「フェアの打球が内野手に触れるか、内野手を通過する前に、フェア地域で走者に触れたときは走者はアウト、打者には一塁が与えられる」という規則しかなかったので、打者には安打が記録され、一塁走者は二塁に進みました。しかし、矛盾は明白なのですぐに現在のような規則が制定されました。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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