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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一死一、三塁で二ゴロを打つも、その前にバットが捕手のミットに接触。この場合、打撃妨害?インプレー?

 

一死一、三塁で打者は二塁ゴロを打ちました。三塁走者は得点しましたが、打者がスイングしたとき、バットが捕手のミットに触れていたので球審は打撃妨害を宣告しました。この場合、打者は打撃妨害で一塁に出塁するのでしょうか。あるいはプレーはそのまま生きるのでしょうか。

この場合は、攻撃側に選択権が認められます。規則6.01(c)には、打撃妨害について述べられていますが、その後段にはこうあります。「しかし、妨害にもかかわらずプレイが続けられたときには、攻撃側チームの監督は、そのプレイが終わってからただちに、妨害行為に対するペナルティの代わりに、そのプレイを生かす旨を球審に通告することができる」というものです。

 2008年5月31日の中日西武戦(西武ドーム)でこのプレーがありました。

 2回裏の西武の攻撃のとき、一死一、三塁で細川亨が二塁ゴロを打ったとき、バットが捕手のミットに当たりましたが、三塁走者のG.G.佐藤はスタートを切って生還していました。このとき、このプレーが終わった時点で、細川が打撃妨害で出塁し一死満塁とするか、妨害出塁の代わりに、プレーを生かし、打者は二塁ゴロアウトで、走者の得点を認めるか、判断は攻撃側の監督に委ねられました。

 西武の渡辺久信監督は迷わずに「二塁ゴロで1点」を選びました。満塁を選んでも後続打者が走者をかえせるかどうかは保証できません。当然の渡辺監督の選択です。

 この6.01(c)の【注1】には「監督がプレイを生かす旨を球審に通告するにあたっては、プレイが終わったら、ただちに行なわなければならない。なお、いったん通告したら、これを取り消すことはできない」とあります。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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