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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

二死一、二塁で打者が内野飛球を打ち上げた。一塁走者が奇声を発し、野手がお見合い。二塁走者が生還したが、得点は認められる?

 

二死一、二塁で打者は三塁手と遊撃手との中間に高いフライを打ち上げました。このとき、一塁走者が奇声を発したので驚いた2人の内野手がお互いに手を引きボールはそのままグラウンドに落ちました。二塁走者はそのまま得点しましたが、守備側の監督は、一塁走者の奇声に惑わされたと抗議しました。このときの判定は。

 抗議は一蹴され、得点は認められました。これは実際にメジャーであったプレーです。07年5月30日のブルージェイズ対ヤンキース戦で、9回表にヤンキースが二塁に松井秀喜、一塁にアレックス・ロドリゲスを置いて、ホルヘイ・ポサダが高い内野飛球を打ったときのことです。ロドリゲスが高い奇声を発したので、ブルージェイズのクラーク三塁手が手を引いてしまったのです。

 そこで二塁走者の松井は一気にホームインしてしまったというプレーです。

 クラーク選手は「オレのボールだ」と聞こえたので「手を引いてしまった」と語っていました。

 野球規則でも攻撃側の妨害として定義44(a)に「攻撃側プレーヤーがプレイしようとしている野手を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる行為である」と説明していますが、奇声を発したりという点には言及していません。

 クラーク選手はメジャーでの経験も浅く、この日は07年シーズンの初出場とあって、聞き違えてしまったのでしょう。2013年に発行された「So you think you know baseball?」でも「マイナー・リーグの試合なら問題になるかもしれないが、メジャーでは間違えるほうがおかしい」と一笑に付しています。

 メジャー・リーグレベルの問題ではない、というわけです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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