ファウルフライを追った捕手はウエーティングサークル内でフライをキャッチしようとしましたが、次打者が置き放しにしたバットにつまずき、捕球できませんでした。次打者は慌てて場所を譲ったので、故意に妨害しようとする意思はありませんでしたが、この場合はどう判定すべきでしょうか。 打者アウトを宣告すべきです。打者アウトを規定している規則6.01(b)には守備側の権利優先として、
「攻撃側チームのプレーヤー、ベースコーチまたはその他のメンバーは、打球あるいは送球を処理しようとしている野手の守備を妨げないように、必要に応じて自己の占めている場所(ダッグアウト内またはブルペンを含む)を譲らなければならない(以下略)」 とあります。
さらに、同規則の【注1】には、
「たとえば、プレーヤーが2本のバットを持って次打者席に入っていたとき、打者がファウル飛球を打ち、これを捕手が追ってきたので、そのプレーヤーは1本のバットを持って場所を譲ったが、捕手は取り残されたバットにつまずいたために、容易に捕らえることができたはずのファウル飛球を捕らえることができなかったような場合、プレーヤーの取り残したバットが、明らかに捕手の捕球を妨げたと審判員が判断すれば、打者はアウトになる」 とあります。次のプレーは、この【注1】そのものです。
1998年9月22日の
広島対
巨人(広島)の7回裏、広島の攻撃のときです。
浅井樹選手が一塁側ファウル地域にフライを打ち上げました。このフライを追った
柳澤裕一捕手が、次打者席に置いたままであるバットやスプレーにつまずいて落球しまったのです。
審判は直ちに【注1】を適用し、守備妨害として打者アウトを宣告しました。