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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

打席に立った投手が利き腕に死球を受け、次の回から白い包帯を巻いてマウンドへ。これに球が見にくいと打者が抗議。どう対処する?

 

投球する腕に死球を受けた投手は、次のイニングからボールが当たった個所に白い包帯を巻いて登板しました。これに対し、打者が「白い包帯だと打席からボールが見にくくなる」と球審に抗議をしましたが、こうした場合、球審はどう対処すべきでしょうか。

 球審は白い包帯ではなく、色つきのものに取り替えるように指導すべきです。規則3.07(a)には投手のグラブとして「投手用のグラブは縫い目、しめひも、網(ウェブ)を含む全体が1色であることが必要で、しかもその色は、白色、灰色以外のものでなければならない」と明記されています。

 白いボールを投げる投手が白っぽいグラブを用いていては、ボールと色が重なり、打者がボールを見にくくなるのを防ぐためです。

 たとえ白い包帯が投げるほうの腕に巻かれたものでなくても、包帯がチラチラ見えれば、打者は気になってしまいます。投手が身に付けるものには、厳しい制限が設けられているのです。

 1985年10月5日の巨人阪神(後楽園球場)の8回裏に、巨人のカムストック投手が右腕に死球を受けると、9回表にその個所に白い医療用テープを巻いて登板したので、阪神から抗議が出ました。ですが、巨人はすぐに白いテープを肌色のテープに取り替えたので、一件落着となりました。3.07(b)には「投手は、そのグラブの色と異なった色のものを、グラブにつけることはできない」とも記されています。

 また、野球規則書の8.01にある審判員の資格と権限の(c)には「審判員は、本規則に明確に規定されていない事項に関しては、自己の裁量に基づいて、裁定を下す権能が与えられている」ともあります。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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