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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

2ストライクからの投球が乱れて捕手が後逸。打者はボールが通過後に意図的に空振りし振り逃げで一塁へ。三振は認められる?

 

1点リードされて迎えた9回裏、無死無走者。カウント2ストライクからの3球目は頭の上にきた完全なボールでしたが、ボールが通過後、しばらくしてから打者が意図的に空振り。捕手がこの投球をつかめず後逸し、振り逃げで一塁に出塁しました。打撃に自信のない打者は、空振りして一塁に出れば、得点につながると考えたのでしょうが、こうした場合、三振と判定すべきではなく、単に「ボール」と宣告すべきでしょうか。

野球規則5.01(c)には、

「まず、投手は打者に投球する。その投球を打つか打たないかは打者が選択する」

とあります。

 さらに5.05(a)の(2)には、

「(A)走者が一塁にいないとき、(B)走者が一塁にいても2アウトのとき、捕手が第3ストライクと宣告された投球を捕らえなかった場合」

ともあります。

 ここまでは野球の常識です。ただ、ここではカウント2ストライク後に、振り逃げで一塁に出塁するために意図的に明らかなボール球を空振りしたことに対し、打者の「三振」を認めるかどうかが問題になります。

 アメリカの規則問題集では、投球が打者を通過し、時間がたった後に空振りしたときには、打者の空振りとは認められないと解釈しています。つまり、振り逃げで一塁への出塁は認められません。これは日本でもアメリカと同様でしょう。

 いずれにしても、このような場合、審判は常識的なセンスで問題を処理すべきだと言っています。

 打者が明らかに振り逃げで一塁への出塁をするために、ボールが通過してから時間がたった後に空振りしたのであれば、空振りとは認めず「ボール」とするべきなのでしょう。野球常識で解決すべき問題なのです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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